磯の魚の面々とコトヒキとの混泳には仲裁役が必要だと感じて、別の水槽にいたメジナを入れることにしました。
コトヒキが幼稚園児だとしたらメジナは大人の大きさです。メジナはコトヒキと同等大の磯の魚の面々の存在は全く気にしていないようですが、ことコトヒキに対しては敵意むき出しで追いかけます。
そこにメジナがいると近づかず、こちらへメジナが来ると逃げてゆくという風に、コトヒキはメジナに対して一定の距離を保っているようです。これは思惑どうりにいきました、水槽内の平和が保てて「ヨシヨシ」と私はうなずいています。
そんなある日、メジナの様子が変なのに気づきます、水槽の底でジッとしているかとおもえば泳ぎだし、また底のほうでジッとしていてはまた泳ぎだす、といったことを繰り返しているのです。
数日後、様子は悪化していてヒレの先はつぶれ透明感が無くなってきており、メジナだけ特定の病気にかかったようです。それから数日後、「もう手の打ちようがないな・・」と思い始めた頃のこと、
メジナが水槽の中央付近をあてどもなく泳いでいると、壁づたいに泳いでいたコトヒキが、突然メジナの眼前を悠々と横切るではありませんか、しかしメジナはもう追える元気がもうありません。
そしてコトヒキはくるりと反転すると、今度はメジナの尾びれの付け根を突つくのです。今までは近づくことも出来なかったコトヒキのなんという不敵さ、なんという造反、なんという冷静さ。
メジナは力を振り絞って逃げ、ことなきを得ましたが、その後長くはもちませんでした。この一件から、コトヒキの分離というのを真剣に考え始めたのです。 |