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自作スピーカー(A) 作成:2003/3

【 自作スピーカーの簡単な履歴と使用ユニットの紹介 】
これまでコーラルの 8CX-501(20cmコアキシャル)、FLAT-6(16cmフルレンジ)、パイオニアの PAX-A20(20cmコアキシャル)、PT-10(コーン・ツィータ)、フォステクスの FE83(8cmフルレンジ)、FE87(8cmフルレンジ)等を使用してきましたが我家にはそれらの自作スピーカーを残しておくスペースが無く、全て譲渡されております。
← 今回使用のユニット
・SLE24W(20cmエッジレスウーハー)
・FT55D(ドームツィータ)

どちらも9年前に購入したフォステクス製のものです。今日まで間に合わせのキャビネット( PAX-A20 の箱)に取り付けて使用していました。最新のユニットを入手してもよいけれど、世界的にも稀な?エッジレスウーハーを何とか自分のものにしてみたいという気持のほうが強いのです。

エッジレスのためコーン紙を固定しているエッジ部とフレームとの間に1mm強の隙間があります。この隙間からはキャビネット内部の音が少し漏れることになるのですが、実際聴いていてもよく解りません。プレゼンス程度のものと感じています。また密閉キャビネットに取り付けた場合でも僅かにバスレフ動作をするとは思っています。

このユニットの魅力は歯切れよく良く伸びる低音です。一般的なドスドスドンドンという低音ではありません。


【 板の裁断と図面とキャビネットの計算 】
今まで板の裁断は全て自分で行っていたのですが、今回は初めて板の裁断を東急ハンズ店にお願いしました。それは、当マンション自治会からの回覧版にて「騒音にお互いに注意しましょう!」という旨が書かれていたからです。電動ドリルでの穴あけは掃除機に比べれば小さい音ですが、ノコギリや電動ジグソーを用いての裁断には、やはり気を使わざるを得ないと考えました。

オーソドックスなバスレフ・キャビネットですが、裁断をお願いするにあたり3尺×6尺1枚で2個分が取れる図面を引きました。板材はシナ合板で 21mm 厚です。

キャビネットの容量は35リットル、ユニットの説明書に記載の推奨容量です、しかしフォステクス社の総合パンフには推奨25リットルと書かれている・・・。まぁ 25~35 に収まれば良しと解釈してしまいましたが、素性が解らないと不安になるもので一応計算だけはやってみました。
計算に用いた式は、かって「週間FM」に連載されていた(故)長岡鉄男氏が自作記事にて紹介されていたものです。当時は電卓片手に時間をかけて計算していましたが、今はエクセルを使うことで簡単に出来てしまいます。
計算上のキャビネット共振周波数は約 50Hz となりましたが、エッジ周辺から空気が漏れるので実際はもっと低くなるはずです。推奨のバスレフ・ダクト面積と長さから逆算してみると、ダクトの共振周波数は約 27Hz、キャビネットの共振周波数は約 35Hz となりました。

正確に計算して作成し、該当する周波数を入れてみると計算どうりの音が出るのは経験から知っていますが、エッジの隙間から漏れる空気量の影響は未経験です。今回は当たらずとも遠からずといったところの感じをつかみ、試聴後に調整することにします。

 【 キャビネットの組み立て 】
裁断されて宅配で届いた板を見て驚きました!素晴らしい加工精度と綺麗さです。板厚が影響する寸法は注意して頂けるようにお願いをしていたのですが、見事にピッタリ!今後は自分で裁断するのがイヤになってしまいそうです。
1個分の板材 組み立て(木ねじ使用) 底は取り外し可能とするために枠を設けた
上の写真を見てお分かりのように、やや奥行のあるプロポーションでバスレフ・ダクトの位置は天板側となっています。

奥行のあるプロポーションとしたのは、内部圧を少しでも和らげてエッジ周辺からの音漏れを低減したいのと、昔秋葉原のある店舗で聴いた時に感じた、ゆったり感や響き感を得たいという思いがあります。

バスレフ・ダクトの位置を天板としたのは今回が初めてですが、(故)長岡鉄男氏が自作記事にて命名していた「チムニー型」と呼ばれるもので、プレゼンス効果が得られるということでした。

しかし広い空間で聴くのならまだしも、我家の押し込めた空間ではあまり期待はできそうにもありませんが、一度は作ってみたかった!のです。

吸音材は10mm厚のグラス・ウールで、DIY店で売られていたものを使用。質量の重い吸音材もあるのですが、低音域の吸収はあまり考えていないので今回は使用しないことにします。  

【 試聴 と調整 (1) 】
左:旧作(45L)、右:新作(35L)
前のと比べてどうかな?!試聴を前に期待感で胸踊るこの時・・・

さて、結果は?
新作は低域の量感はあるが、音程域はかなり高めで明確な音程の出ない、いわゆるボンつき気味の音で私の嫌いな音の傾向。

旧作のほうが、あのベース弦特有の弾ける音が良く出ている。新作は殆ど聴き取れないといってよいほど出ていない。旧作が断然良い!

あ~ぁ、失敗かぁ・・・
翌日、気をとり直して色々とトライしてみる。

キャビネットの内部圧を低減するため、底板を少しずらして隙間を空け、底面開放気味としてみるが、俗に言うところの締りの無い「カァーカァ」音が出てきて聴くに耐えません。

ためしにバスレフ・ダクトを外してみたら、少~し良くなるが、これ以上の方法はどうしようも無いのです。

共振周波数が高めになっており、低くするためにキャビネットを大きくすることはもう出来ない。ならばダクトの共振周波数を下げるしかないので、取り敢えずダクト長を倍にしてみる、と、これは良い結果を生んだ。

ボンつき気味の音は消え、ベースの弾ける音も良く出てくるようになった。新作と旧作のどちらを選んでもよいかな?と迷う状況までになってきているが、低いほうの音の響きは旧作の方がまだ良く聞こえる。

新作のダクト長をもう少し延ばすことにするが、キャビネットの内寸41cmに対して現状のダクト長は板厚を差し引いて32cm、ストレートに延ばすとすれば、あと6cm~7cmが限界です。

3cmほどダクト先の空間を残して延ばした結果として、良好!良好!期待感が先行しているのかもしれないが、やっぱり良く聴こえる。旧作のゆったりとした響きというのに対して、新作は締まっていると感じ、低域感は上回ると感じます。

ダクト面は 4.5cm 角、ダクト長 は38cm、となった。

試聴に際してはミックスコードを用いてモノラルとし、片チャンネルに夫々録音しておく方法です。右に新作スピーカー、左に旧作スピーカーを繋ぎ、右チャンネル再生で1曲聴き、左チャンネル再生で同じ曲を聴くという方法で、こうすれば視聴の度に一々立ちあがって接続を入れ変える手間を省けます。

視聴に使用した曲は、ベースが効いているものを適当に3曲選びました。ヨ・ミスター(パティ・ラベル)、ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー(U2)、ビック・ログ(ロバート・プラント)

【 試聴 と調整 (2) 】
箱に合う低音域が決まったら次は高音域の調整ですが、ネットワークはツィーターのローカットのみです。

これまで 2Way のネットワークは何度か作成してきましたが、ハイカット用のコイルを挿入すると、どうしても低音域の立ち上がりが鈍ってしまいます。
現状はローカット用にコンデンサーを入れているだけ。使用しているアッテネーターは懐かしのコーラル製。

この状態でイージーリスニングなどを聴いてみると、旧作はしっとり、新作は楽しく感じます。

【 スピーカーグリル 】
不注意でスピーカーのコーン紙に物がぶつかるのを防止する意味で、以前から取り付けています。

写真のものは5mm厚のベニア合板をくり抜いた旧作のもので、これもいずれ作り直さなければなりません。