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自作スピーカー(C)PCオーディオ用 作成:2017/3

 今回の使用ユニット
Tang Band W3-881SJ

TG9FD-10-08(8Ω)

デンマークの Vifa (or Peerless) ブランドで発売されているグラスファイバーコーンの 9cm フルレンジです。

Spec Sheet はこちら

見た目に美しいスピーカーユニットです。が、フレームはプラスチック製。両手で持って親指で押すとたわみます… こんなもので良いのか?とやや不安を感じてしまう。

裏側の仕上がりはやや雑という感じで、ダンパーとフレームの接着樹脂の終わり部分がスーッと糸状に伸びてコーンに軽く触れていたり、接着樹脂の仕上がりがデコボコしていたり、+-ターミナルからのリード線の接続がコーンにベトッと接着されている個所がひとつあったりと、仕上がり状態がたどたどしく、まだ慣れていない人が作ったとしか思えない。(工場は中国ですよ…)

と、作り始める前からユニットを眺めてぼやいていたのですが、出てきた音は美音だった!


 制作過程の抜粋

基本的な製作工程は 自作スピーカー(B)と同じですが、改善点を2つ取り入れました。 ① 圧着時のズレの改善 ② スピーカー端子の開口穴改善(端子変更)。

今回のスピーカーボックスの仕様は、120mm(W)×220mm(H)×164mm(D)のサイズで2.6ℓ 、素材は12mm厚のMDF材でオーソドックスなバスレフです。

(1) (2) (3)
2.2mmドリルと爪楊枝 マーキング 位置の確認
(1) 圧着時に微妙にズレるのを改善するために使用したのは、2.2mmの爪楊枝とドリル。爪楊枝の先端はテーパーが少し残るところで切り落とします。
(2) 「これ以上合わせられない!」というところまで接着個所を合わせたら、上からシッカリと押さえてドリルで穴を開けます。下側の板には5mm程度の深さがあれば十分です。合わせ位置を必ずマーキングします。
(3) ひとつ開けたら爪楊枝を差して固定し、次の穴を開ける。終わったら仮組をしてズレがないか確認する。ドリルの穴に対して爪楊枝はややきつめであり、軽く叩いて挿入する感じでした。ズレないためにはこのきつさが重要ですね。
(4) (5) (6)
爪楊枝切断後 スピーカーターミナル 吸音材
(4) 爪楊枝に切れ目を入れて折り、折れ跡をカッタナイフで削った状態。この後にカンナで平らにしてサンドペーパーをかけると殆ど判らなくなります。”スコッと位置が決まってズレない” というのは病みつきになりそう。
(5) 今回使用したスピーカー端子は独立型。前回使用した+-セットのスピーカー端子は取り付けに際して都合4つの穴を開けなければならないが、今回は2つのみで密閉度も完璧。尚、ボックスを組み立てた後では取り付けることが出来ないので、この面は最初に仕上げておきます。
(6) 吸音材の貼り付けは前回よりも多い。それはスペックシートの波形から低域部での固有音が出てきそうな気が何となくしたから。
(7) (8) (9)
バッフル面のラウンド スピーカー端子の破損 スピーカー端子の補正
(7) 最後にツキ板を側面 → 前面 → 側面の3面に貼るのですが、ツキ板は直角には曲がらないのでバッフル面の左右の角はR仕上げとします。
(8) スピーカー端子にファストン端子をギュッギュツと押し込んでいたらパリッと折れちゃった… でハンダ付けです。
(9) このままではやがて分離して他の金属部と接触する恐れがあるのでタコ糸を使って固定しました。こういう痛々しい姿を見ると価値観が急激に下がりますね。

 完成品と試聴
完成! 思わず撫でてみたくなる愛おしいスピーカーが完成!

鳴らし始めて3日目あたりから良い音が出てきました。このユニットも美音ですなぁ… 音質は前回作成したTang Bandの W3-881SJとよく似ていますが、やや硬めの印象。細かい音の解像度はやや後退したかな?という感じも受ける。

音が前に出てきて耳によく届く、ピアノの右手方向への動きも判りやすく、ボーカルも輪郭が判りやすい。クラシック、リスニング系ともにメリハリが少し出てくると感じる。スネアドラムのリムを打つ音がよく通る。

中域~高域にかけて美音であると感じるが、打つ、弾くときの音の出る微妙なニュアンスがやや不足している感がある。

低域の出方にちょっと馴染めないところがある。低域の出方はド-ンではなくてドンという感じであり、ピストン動作でなくて一撃の打音で出しているイメージ、このために音の伸びが足りないと感じる。

ボックスの容量が起因しているであろうことも考慮するが、スペックシートの周波数特性で150Hz~350Hzあたりが持ち上がっている。このあたりの音だと思うが曲によっては耳に付きすぎて嫌な感じになる。

聴感上での低域特性を確認してみると、90Hz以降から減衰しているようで、80Hzが出ていることは聴きとれるが、70Hzになると耳を澄まさないと聴きとれなくなる。容積が少ないのによく出ているなぁと感心します。

さてと… 常設するスピーカーとしてW3-881SJ か TG9FD-10-08のどちらかを選ばなければなりません。ちょっと悩んで選んだのは W3-881SJ、とにかく音を聴いてホッとします。TG9FD-10-08 の前に出てくる音も捨てがたいが、やや頭痛がする時には聴くのを遠慮したいと思ってしまう。

前に出る音と表現しましたが、出る音があれば引っ込む音もある訳です。ボーカルや演奏のソロの場合はあまり意識しなくてもよいのですが、バックバンドがいる場合は曲によってはボーカルが目立ったり、ある楽器の音が目立ったりするわけで、全体の構成音で見ればやや不自然に感じたりします。